電磁ポテンシャルは物理量なの?

 こんにちは。おっくーだったりおっくーじゃなかったりします。今日も元気にニートしてます。最近家で物理だけじゃさすがに気が狂うのでブックオフへ散歩するんですよ。そしたらマクマリー有機化学が1000円で売ってたり化学入門シリーズの無機化学が400円くらいで売ってました。買おうとも思いましたが本棚のまだ穢れのない子供たちのことを思うと買えませんでした。それと物理系の本で光るものがなかったのでちょっとかなぴこ。

 

 前回のブログで「場は物理量って書いてあるけど電磁ポテンシャルは場でかつ、物理量でないとされている。その辺どう解釈してるの?」といった趣旨の質問が寄せられました。盲点でした。質問いただいた方はありがとうございます。ここではその質問に答えられる範囲で答えます。

 

 まず、物理量であるならば測定によって一意的に測定値が得られるはずです。例えば自宅の位置を測定するときには基準点(大学や駅など)を設ければそこからどの方向へどれくらい離れているのかで一意的にわかりますね。(このとき、各場所の大きさは持たず点とみなす)古典電磁気学では電場と磁場を場の変数として電磁ポテンシャルを考えるとゲージ不変性(電磁ポテンシャルのゲージ変換によって電場と磁場が不変である性質)が保たれています。したがって電磁場を場の物理量としてみると電磁ポテンシャルは一意的に測定できないために物理量ではないと結論づけることができます。このとき、ローレンツゲージ条件を満たします。言い換えると、電磁場の物理状態が確定していても電磁ポテンシャルは自由度を持つということです。少なくとも古典論では電磁ポテンシャルは物理量ではないことがわかりました。

 

 しかし、これは古典電磁気学の帰結で量子化してもその自由度が保たれるとは保証できません。 まず電磁場の量子化を試みようとするときに古典論と同じラグランジアン密度を量子論でも要請してディラック場などと同じように量子化しようとすると、スカラーポテンシャルの正準共役運動量が存在せず(0になってしまう)に正準量子化の要請を満たさなくなることがわかります。(経路積分量子化については私の不勉強により言及できません。)しかし、ローレンツゲージ条件より弱い条件を課すことによってゲージ自由度は保たれるらしいのでやはり電磁ポテンシャルは量子論においても物理量ではないとみなすことができます。場の変数でも物理量と物理量でないものがあることがわかったところで今日は終わりにします。