統治行為論に詩を書いて、日が沈む。

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 こんちこ!統治行為論の父であり、母であり、兄であり、姉であり、弟であり、妹であり、娘であり、息子であり、ペットであり、本であり、仮面であり、トポロジーであり、女の子です。私が全能であればの話ですけど。

 つまり私は全能であると仮定すると、統治行為論の父であり、母であり、兄であり、姉であり、弟であり、妹であり、娘であり、息子であり、ペットであり、本であり、仮面であり、トポロジーであり、女の子なので自分のことについてのエッセイを書くことで、間接的に統治行為論のことについて書いていることになります。ええ、なるんですよ。

 早速、高校時代から話していきましょうか。私の生活に暗雲が立ち込めた頃、あるゲームを始めることにしました。それは「14歳美少女JCゲーム」ではなくて、「何者ゲーム」です。これはその名の通り私は何者であるかを地道に模索していくことです。例えば、プロゲーマーはゲームをして生計を立てているので、ゲームする人ですよね。そんな感じでどのように生きていくかという事項は大切なことです。得意なこと探し的なサムシングです。そういえば何者と言えばこの曲ですよね。

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上の人とは違って、踊り場の窓から人並みを眺めていたのではないのですが、私は当時2chの受験板みたいなのに張り付いていて、東大京大以外はカスという言説を間に受けることになってしまいました。厳密にはあの住人の意見も多種多様でセンター試験が近づくにつれて、受験生にとってのいい大学の定義が広がったりしていたと記憶しているのですが。今思えば、あの頃は視野か肩身が狭かったのでしょう。そんな苦しい世界にいた私は、躍起になって受験勉強に投じることになりました。高校生活の大体はこれとスプラトゥーンで潰れました。さらば、高校生活。

 そして長い長い受験勉強の末、無事に大学に合格することになりました。東大以外の。喜びました。あまりに膨大な達成感で震えが止まりませんでした。この後の人生は余生だと思ってました。おじいちゃんですね。こうして有効的な老後を迎えた私は、閉じ込めていた殻を勢いよく破り、友達と遊び呆けていました。当時は卓球をよくやっていたと思います。もちろん、私は卓球をするために生まれてきた人ではありませんが。きっと統治行為論もそのはずです。
 そして晴れて大学に入学することになりました。校庭くらいに大きい体育館で、暗い校歌を歌いながら明るい期待を胸に寄せていると、あることに気が付きました。まだ余生じゃないじゃーんと。そうなんです。大学に受かったくらいでは、私が何者かちっとも分からないのです。受かるとせいぜい頭が良くて美少女の画像を送ってくるオタクと関わる程度の特典しかありません。あとタダで論文と理工学書が読み放題コースも憑いてきます。

 私は入学時に漠然と情報系に行きたいと、貧乏な家で提供されるカルピスくらい希薄に考えていました。その他は何を考えていたかというと、統治行為論について考えていました。嘘です。acid a 愛菜について考えていました。考えすぎは毒ということです。しかし、授業が進んでいき期末試験が横行していくところで、私が情報系に進級するには成績が悪すぎることに気づいたのです。これはまずい。淡い夢が打ち砕かれてしまう。おとなしく別の学科にしようと、決めざるを得ないところに来てしまいました。でも良いのです。私はそもそも情報系に大して興味がなかったのだから。ここで「何者ゲーム」が進展します。

 私は物理学を楽しそうにやっている友達を見て、楽しそうだなと思いました。小学生並の感性と語彙力ですが、私が物理学科に進学する理由を説明するのにこれ以上の言葉はいらないのです。でも統治行為論は数学科ですよね?という怨嗟の声が聞こえました。どうしてくれるのでしょうか。私はエッセイを書き続けます。

 私は物理学科に進学することができ、物理学を始めることにしました。そのころのモチベーションは高くて、自主的に後に学ぶ学問を先取りしたり、物理学のイベント的なものに参加もしました。世間一般ではこれだけ言っとけば十分なはずです。ほんま?物理をしていくにあたって友達もできました。素晴らしい。特に好きだった講義は統計力学です。これは統治行為論が好きな学問のベスト3には入るのではないでしょうか。統計力学とは、誤解を恐れずにいうと、ミクロとマクロをつなぐ理論です。私はこれである程度試行錯誤することを覚えました。例えば、二次元だとこうだけど、これを三次元に拡張するとどうなる?サイトの配列を変えるとどう?などいろいろ物事を考える幅が広がっていい経験だったと思います。統治行為の先生、あ、間違えた。統計力学の先生には感謝しなければなりません。

 私に次の岐路がやってきます。これは「何者ゲーム」をする上ではあまり重要ではありませんでしたが、岐路は岐路です。自分なりに吟味したり、人づてに情報収集をして、次に所属する研究室を選択せねばなりません。私が選んだのはθ研です。θ研は結構良い研究室で、博士課程に進学する上で利点を得やすいところでもあります。そういう理由で選びました。あとやりたい物理と似通っているからでもあります。

 実際にθ研のθ先生にいろいろ指導していただくと、それはそれはすごい賢い人でした。どれくらい賢いかというと、ある川の流れを見ただけですべての川の概形を地図に書き記せそうなくらい聡明な人でした。助言も適切で、未熟な私にも適度にお誉めもいただき、有能な上司って言葉が似あうような人でした。あともちろん研究者としてもすごい人だと思っています。

 ここで「何者ゲーム」が大きく動くイベントが起こります。なんと、あの燃えるような宝石の輝きに目がくらんでしまったのです。スタァライトとも言います。統治行為論がよくやってるソシャゲもスタァライトのやつですよね。あまりにおすすめしたいので、リンクを貼ります。

cinema.revuestarlight.com

ついでに私にこれを見せてきた大罪人も紹介します。残念ながら統治行為論ではないです。でも彼(彼女)の手足のような人です。

twitter.com

経緯を詳しくお話しすると、まず @JJmo6626 が私にスタァライトを観てほしいとしつこく言ってきたのです。あまりにしつこいので、私の鼓膜にスタァライトが刻まれてしまいました。当時愚かな私はそこまでされてもスタァライトを観る気になれず、ついに奢られることで観る決意をしました。私もまあタダで映画観れるならええかのノリですね。タダァライト。久しぶりの映画だったもので、こういう静けさええなぁと感じながらおもむろに席につきました。微妙に明るかった映画館が完全に暗転した時、トマトが爆発したのです。なんてこった。私の脳に?を浮かべていると、東京タワーがボコボコになってたり、電車が大きな板に変貌したり、大場なながカッコよかったり、ホラー映画が始まったり、なんかぶっ飛んだり、すごかったです。巷では映像化不可能な作品と言われているものがありますが、スタァライトはその逆で文庫化不可能な作品と言っても過言ではありません。ちなみに、ガムはうんこ化不可能らしいですよね。スタァライトはガムでもするめでもなく、噛んでも噛んでも味が落ちない、甘くも苦い、完全な何かでした。スタァライトを食べ物で表すこともできないということですね。15回くらい噛んだので間違いありません。また噛みたい。

 スタァライトに撃ち滅ぼされた私の精神はいつしか物理学にではなく、文学に向けられていました。というのも、スタァライトの監督である、古川知宏さんの愛読書を語る記事の中で「三島由紀夫と大場なな」という興味を引くタイトルを見てしまったのです。

tree-novel.com

本記事で古川さんは三島さんの文体について次のように述べています。

三島は時間の圧縮がとにかく巧いです。冒頭で糞尿汲み取り人のフンドシのことを事細かに描写するところなんかも、極限まで時間の圧縮に成功した文章だと思っています。

これはよく黄色い頭の解釈違いがおっしゃっている「永遠の一瞬」ってやつと類似していますね。私はこの人の小説を読めば、その「永遠の一瞬」とやらが分かるかもしれない。そう思って実際に三島さんの「金閣寺」と「仮面の告白」を読んでみました。「仮面の告白」はまだ物語を理解できた気になれたのですが、「金閣寺」については何もわかりませんでした。ただ、ところどころの文章が緻密で惹きこまれるものがあったとは認識しています。

www.shinchosha.co.jp

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これが私が文芸を読むきっかけとなったのです。これがなかったら、今も物理の道を辿ろうとしていた気がします。

 スタァライトが私の「何者ゲーム」を大きく動かしたのは、作品だけではありません。元々の私の性格というか、妄想癖にもあると思っています。私は元来、こういう世界観でこういう物語があるな~、と。日々想い耽っていたものです。その潜在的なものがスタァライトでむき出しにされたと言えるわけです。This is 私。

 私は自分に大した文才があるとは思っていません。なのでそのまますべてを捨てて専業作家になるのも忍びないです。一方で、こういう物語を書き連ねる人生が良いなとぼんやり思ってもいます。ここでひとつの天才的仮説を導きました。どこか忙しすぎない企業に入って、働きながら執筆すればいいのでは?そうと決まったら、もう物理学なんて目じゃありません。こうして今に至ります。以前なろう小説でなんか書いているのを見た人ももしかしたらいるかもしれませんが、あれはお蔵入りになりました。悲しいね。次は完成に向けて書いていきます。あとちゃんと就活もしないとですね。「何者ゲーム」は続きます。

 また、私は統治行為論に毎日詩を送っています。これは詩人になりたいわけではなく、一つの挑戦的なやつです。もはや習慣になってます。我ながらすごいです。

 あと最近読んだ本をいくつか紹介していきます。

mwbunko.com

これはずっと面白かったです。読みやすい文体で飽きない展開。それでいて恐怖さえ感じる溺恋的な世界観。斜線堂さんの他の本も読みたいです(すでに2冊積んでる)。

 

www.hayakawa-online.co.jp

 

これは独特な比喩表現が続いて面白かったです。世界観が今に似ているように感じます。終わり方も好きです。摂氏233度です。

 

 最後に、

「あなたもスタァライト、してみませんか?」

統治行為論スタァライトが好きらしいので、こんな感じで締めていきたいと思います!